シン・山の神

 箱根駅伝の往路。優勝候補の青山学院大が1区で16位と大きく出遅れました。これを見た僕は「青学は往路は良くて3位くらいまでかな」と思いました。5区の山登りにエースの黒田朝日が控えているとは言え、黒田は5区は未経験。有力校には山登りの経験豊富なランナーがいます。原監督は2分以内なら黒田は追いつけると語っていたそうですが、中央大や早大、駒大、国学院大など有力校相手に1区の出遅れをそこまで取り戻せるのかは疑問でした。

 そこから青学は順位を着実に上げていきますが、とは言え大エースがいるわけではないので中位校は抜けても上位校とはそこまで差が詰まりません。2区の飯田が11位、3区の宇田川が8位とするものの区間賞にはほど遠く、4区の平松にタスキが渡ります。平松は本来は今回エントリーだけで走る予定ではなかったらしいですが、胃腸炎で欠場の選手が出たために急遽走ることになったようです。愛知の中部第一高出身だけに応援していましたが、そこまで期待はしていませんでした。ところがこの平松が快走。区間3位の走りでライバル駒大を突き放し5位まで追い上げました。この4区では早大の1年生鈴木がヴィンセントの区間記録にわずか1秒遅れるだけの区間賞で走ったので、平松は目立ちませんでしたが、彼の力走が黒田を覚醒させました。

 5区の黒田とほぼ一緒にトップと3分24秒差で中継所を出た城西大の斉藤は山登りのスペシャリストとして区間賞候補でしたが、あっという間に黒田に置いていかれてしまいました。また2位でタスキを受けて中大を抜いて首位に立った早大の工藤も「山の名探偵」の異名をもつ山登りのスペシャリストでしたが、昨年とほぼ変わらぬペースで走っていたにも関わらず、黒田に2分以上の大差を引っくり返されてしまいました。黒田は区間記録を2分近く更新する1時間7分16秒。テレビ中継の解説をしていた早大OBの瀬古利彦、渡辺康幸が「平地を走っているみたい」「乗り物に乗っているんじゃないか」と悔しさ半分に言うくらいのオバケ記録でした。

 レース後に本人自ら「シン・山の神」と宣言していましたが、瀬古がいうように黒田は現時点でも「箱根駅伝レベルの選手じゃない」ので、歴代「山の神」とは別扱いにしないと、過去の「山の神」たちの立場がありませんし、今後新しい「山の神」も名乗れそうにありません。すでに学生のマラソン日本記録保持者だけに、これからはマラソンで世界と戦う選手になりますから、日本マラソン界のエースとして活躍を期待したいと思います。

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