ワークライフバランス

 自民党総裁選は高市早苗が小泉進次郎との決戦投票を制して勝利しました。野党が一致団結できない以上、少数与党ながらこのまま首相に指名されることでしょう。憲政史上初の女性首相が誕生します。それはひとつの壁、もしくはガラスの天井を破ったことになりますが、高市のように女性でありながら男性社会に完全にすり寄って成り上がった人物が、果たして本当に女性の人権向上や女性が活躍できる社会を築くことができるのかと考えると、かなり疑問が残ります。なにせ働く女性でありながら選択的夫婦別姓制度に明確に反対している人物です。自分自身は別姓でずっと仕事をしているにも関わらず。

 総裁選に勝った後のスピーチでも「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と発言して、直後に石破にいじられていましたが、こういうことをすぐ言うから失言が多くなります。これまで働きすぎで「過労死」が当たり前だった日本社会をようやくここまで正常に戻してきたのに、国のトップに立とうと言う人間がいきなりこういう間違ったメッセージを発信することで、これまで積み上げてきた関係者の労苦を一気に元に戻してしまいます。トランプがアメリカを壊すのに半年しかかからなかったように、高市がこうした時代に逆行した「受け狙い」の発言をすれば、厚労省や民間企業がきちんと休める社会を作ってきたのを壊しかねません。

 結局女性が男性社会で成り上がるためには、男性より「マッチョ」にならなければ受け入れてもらえない、という典型例が高市だと思います。小泉陣営のステマ疑惑の時に「ビジネスエセ保守」というのがありました。これは明らかに高市のことを指していますし、舛添要一も高市は昔はこんなに右寄りではなかったと証言しています。本心では彼女も思うところはあるかも知れませんが、どこまでも強気な「マッチョ仕草」を見せていかないと支持してもらえないと思っているでしょうし、実際そういうところが受けてここまできたのでしょう。だから叩かれても叩かれても一部の支持者に受ける発言を繰り返してきたのだろうと思います。ただトップに立ったら何でも受け狙いの強気発言をしていれば良いというわけにはいきません。特に中国、北朝鮮、韓国との外交関係は繊細なのですから、これまでのようなネトウヨ受け狙いの反中発言をトップがすることは、戦争さえ引き起こしてしまいます。

 ジョークに近い「ワークライフバランス」ひとつでもこれだけハレーションを生じます。仮に「ビジネスエセ」の保守であっても、立場が変わればその立ち位置なりの慎重な発言をしないと、どんどん事態は深刻になります。よくこんなリスキーな人物を自民党はトップに選んだものです。高市はこれから綱渡りの政権運営を強いられますし、ダメなら石破同様に1年で捨てられる可能性が高いです。なにせ石破と同じで党内の支持基盤が弱く、「人気がある」という怪しげな理由で長老と言う名の老害が選んだだけです。今回は高市を支持した旧安倍派の裏金議員、統一教会議員たちも、自分たちが復権できれば良いだけなので簡単に離れていくことでしょう。小池百合子ほど高市はしたたかには見えません。むしろ単純で調子に乗りやすいおっちょこちょいのようです。それゆえに、男以上にマッチョに振舞って、利用されるだけ利用されて捨てられる。そんな未来が見える気がします。

 

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