大相撲初場所は安青錦が優勝決定戦で熱海富士を下して2場所連続優勝しました。新大関での優勝は白鵬以来、新関脇、新大関での連続優勝という快挙は双葉山以来です。もう安青錦の横綱昇進は当たり前で、大横綱になる可能性さえ出てきました。なにせまだ21歳。そして入門以来一度も負け越しをしなかったどころか、幕下以下では全勝か6勝1敗、十両に上がってから以降も一番最低の成績が新十両の時の10勝5敗という驚異的な勝率で出世してきました。どんな大横綱でも「上位の壁」に一度はぶち当たるのに、安青錦はそれを全て乗り越えてきたのです。
しかも安青錦の素晴らしさは外国人力士と言っても、これまでの東欧系のようなパワー頼みの大型力士ではないことです。むしろ現代の大相撲においては182センチ140キロは小柄な方です。愚直なまでに低い前傾姿勢を保って基本に忠実に下から攻めて前に出る相撲を得意としています。相撲の技術も多彩で内無双の必殺技も持っていますし、今日の熱海富士との決定戦でも見せた逆転の首投げもできる粘り腰と諦めないメンタルも特色です。
さらに素晴らしいのは謙虚な姿勢と大相撲に対する敬意。外国人力士が何かと批判されるのは、大相撲の歴史や伝統に対する認識が甘い時ですが、安青錦は日本人力士よりもそのあたりがしっかりしていて立派と言うしかありません。まさに非の打ちどころがないパーフェクトな力士です。これだけ心技体が揃った力士は現在見当たらず、現代のアスリートでは大谷翔平と比肩するくらいのパーフェクトぶりです。21歳の完成度ではありません。
唯一の懸念点は大の里に全く歯が立たないことです。今場所も大の里に何もできずに吹っ飛ばされました。大の里と豊昇龍と安青錦は完全に三すくみになっていて、安青錦は大の里に4戦全敗、逆に豊昇龍には4戦全勝です。ちなみに大の里は豊昇龍に2勝9敗と大きく負け越しています。これだけ上位力士ではっきりと優劣がつくというのも珍しいですが、まだ3人とも若いだけに、これから力関係が変わり、どうその対戦成績が変化することになるのか。今後が楽しみです。
