水商売は風俗ではない

 湯川れい子がBABYMETALを「水商売的」と評したことに、特に若い世代から「言葉選びが残念」と批判されているという話題がネットで上がっていました。まず湯川れい子ですが作詞家で音楽評論家として有名な89歳の「おばあさま」です。我々の世代なら知っている人も多いでしょうが、若い世代にはあまり馴染みのない人かも知れません。

 BABYMETALは逆に若い人の方が知っていると思いますが、アイドル的な3人の女性がフロントで歌とダンス、バックをめちゃ上手い男性ミュージシャンたちが担うヘビメタとアイドルを融合させて世界的に人気を博しているロックバンドです。湯川はBABYMETAL好きを公言していて「卑弥呼のような、彼女達の強烈な美しさと若さに惹かれて、それを評価している」としながら、それは「ジェンダー的な、水商売的な評価」だと語ったそうです。的を射た表現だと思いますし、音楽評論家の近田春夫も自身のXで、「まったく湯川さんと同じ意見です」と投稿したそうです。ちなみに近田は74歳の「おじいさん」で、これまた我々世代には馴染み深い人ですが、若い世代には「誰?」かも知れません。

 湯川の「水商売」という表現に抵抗があるという若い世代の意見に対して、湯川は「芸能関係は水商売です。悪い意味はありません」と改めて説明したそうです。「水商売」というのは「飲食業や接客業など、景気や客の流れに左右されやすい職業」を指す言葉。水商売は「もてなし」を主とするサービス業で、儲かる時もあればダメになる時も早い安定しない仕事、浮草稼業などと揶揄されもしてきました。まさに芸能の仕事は「水商売的」であり、若くて綺麗だから成立しているという点ではBABYMETALもその典型だと思います。アイドル全般が水商売的であるという評価に何ら違和感はありません。

 ではなぜ若い世代が「水商売」を悪い意味で捉えているかというと、「風俗業」の意味だと思っているからだそうです。風俗業も広い意味で「水商売」に含まれるとは思いますが、それはあくまでも水商売の中の一部であって、水商売とイコールではありません。それがいつの間にか水商売とは風俗のことだと勘違いされて、さらに勘違いが言葉の定義そのものを変えようとしているわけです。これが言葉の変化の怖いところで、正しい定義がいつの間にかズレてきてしまい、間違って意味が伝わるようになってしまいます。水商売がいつか風俗業のことを完全に意味するようになる時代が来るかも知れないので、中高年は「サラリーマン辞めて水商売でもやろうかな」なんて軽口を叩いて、若い女性にドン引きされないように気をつけた方が良いです。

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