翼をください

 テレビやラジオで「卒業ソング」を特集することが多い今日この頃。「翼をください」も紹介されることが多いのですが、ちょっと気になるのはその扱い。先日のテレビ番組では「翼をください」を合唱曲としていました。「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」がアンジェラ・アキと紹介されたのに、です。こう書いて「そりゃちょっとおかしい」と思うのは65歳以上の高齢者だけじゃないかと推察します。

 合唱曲というのは合唱のために作られた曲です。「旅立ちの日に」とか「大地讃頌」は合唱曲で間違いありません。「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」も「NHK全国学校音楽コンクール中学生の部」の課題曲として書き下ろされた曲なので合唱曲としても良いと思います。しかし「翼をください」はフォークソングです。赤い鳥が「合歓ポピュラーフェスティバル’70」に出場する楽曲として制作され、71年にシングル『竹田の子守唄』のB面曲として発売されました。まだ小学生だった僕ですが、中学生になる頃にはもう知っていました。それほど当時から評判の高かった楽曲です。赤い鳥は74年に解散し、紙ふうせん、ハイ・ファイ・セット、ハミング・バードにわかれました。我々世代の音楽好きには常識です。

 しかしその後に音楽の教科書に掲載され、学校で合唱の時に歌われるようになるにつれ「翼をください」は合唱曲として親しまれるようになりました。我々にとっては「戦争を知らない子供たち」のようなカレッジフォークの流れを汲む楽曲だったのに、下の世代にはもうそういう社会的背景は消えてしまいました。そこが残念であり違和感があるところです。単なる合唱曲、きれいなメロディーと前向きな歌詞として受け取られていることに「ちょっとなぁ」と思ってしまいます。

 今日車の中で聴いていたラジオ番組では「実は元は赤い鳥というフォークグループの曲だったんです」と紹介されていました。これでは全く売れなかった無名のグループの無名の曲が、合唱曲として評価されて知られるようになったみたいに聞こえてしまいます。違います。合唱曲になる前から、当時の中学生も高校生も大学生もみんな知っていて、キャンプファイヤーとかでみんなで歌っていた有名曲なのです。半世紀という時の流れをしみじみ感じてしまいます。

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