3回目までの『豊臣兄弟!』

 早いものですでに大河ドラマ『豊臣兄弟!』も第3回まで終わりました。正月になったと思ったらもう1月後半ですから笑うしかないくらい時が過ぎるのが早いです。で、この3回目までドラマを見てきましたが、ここまで地元名古屋近辺で話がずっと進行していて、本当に「よく知っている話」を見ている気分です。しかも3年前に『どうする家康』、さらにその3年前に『麒麟がくる』、その3年前に『おんな城主直虎』、その前年に『真田丸』、その2年前に『軍師官兵衛』。12年間で6回目の戦国です。よく知っているだけではなく、ついつい以前の作品と比べてしまいます。

 まず脚本ですが、今回の八津弘幸は見せ場の作り方が上手です。手練れ感があります。『麒麟がくる』のような重厚さよりは『どうする家康』寄りの軽みがありますが、あれほど奇を衒ったところがないので安心して見ていられます。いつも話題になる「史実との違い」は今のところ少ないのは、そもそも秀吉、秀長兄弟の若い頃は史実そのものが謎なので、どう描いたところでそれほど大きな問題には感じません。まだ3回ですが、脚本に関しては『真田丸』『麒麟がくる』に次ぐくらいの良さだと思います。

 キャストはかなりはまっている気がします。仲野と池松の息の合った演技は本当に兄弟のように感じられます。小栗信長も良いです。麒麟がくるの染谷将太も面白い信長でしたが、小栗の方が正統派の信長です。信長は長身じゃないとらしくありません。松下洸平の家康に関してはまだ出てきたばかりなので何とも言えませんが、松潤、風間のジャニ系家康よりも聡明さが感じられて悪くない気がします。ちなみに石川数正の迫田孝也には笑ってしまいました。同じ八津の『VIVANT』で裏切り者を演じた迫田が、数正になって今度は家康を裏切るというのはキャスティングの遊び心を感じます。

 信長、秀吉が出てくるドラマではヒロイン的に扱われることも多い市と寧々のキャスティングですが、今回は宮崎あおいと浜辺美波。イメージとしては逆な気もしますが、今のところ宮崎あおいの市がなかなか良いです。さすがの演技力。過去の市ではやはりどうする家康の北川景子が圧巻でしたが、それとはまた別の賢い市を造形しています。寧々は官兵衛で黒木瞳、真田丸で鈴木京香、どうする家康では和久井映見とベテランが演じてきました。浜辺美波では茶々が出てきてからが若く見えすぎて少々心配ですが、秀長が死んでからはあまり描かない予定なのでしょう。

 注文をつけるとしたら、藤吉郎が今のところあまりにもクズ過ぎるところです。歳をとってからの秀吉ならまだしも、若い頃の藤吉郎をここまでクズに描いたことは過去になかったのではないかと思います。面白いし、底知れぬ闇を感じさせているのは池松の演技力あってこそだと思いますが、若い頃からこんなクズでは、本当に出世できたのかどうか疑わしくなってしまいます。普通のドラマならこんなクズキャラは早死にします。いくら兄弟の性格や資質の違いを描くためとは言え、もう少し「人たらし」らしい魅力的なところも描いた方が良いのではないかと思います。

 

 

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