今回の震災の名称が閣議で「東日本大震災」とすることに決定したそうです。これまでNHKが「東北関東大震災」、民放が「東日本大震災」と呼んでいたので、政府はNHK案を採らず民放案を採用したということになりました。これはちょっと意外でしたし、本当にそれで良いのかなと思います。
地震の名称は「阪神淡路大震災」とか「新潟県中越地震」のように、ある程度狭い特定された範囲の地域を名称とする方が良いと思います。と言うのも、地震大国日本ですから、隣接した地域で繰り返し大きな地震が起きる可能性が高いし、その場合に前の地震と区別がつきにくいからです。実際、2004年10月の地震は「新潟県中越地震」ですが、2007年7月の地震は「新潟県中越沖地震」です。東電柏崎原発で火災事故が起きたのは後者の方ですが、1文字違いなので混同されている場合も多分あることでしょう
そういう意味では「東北関東大震災」と言うのも正確ではなく、本来なら「東北関東太平洋岸大震災」と言うべきではないかと思いますが、ただ「東日本大震災」よりはまだマシなのは東北と関東という地域がほぼ特定できるからです。しかし「東日本大震災」と言ってしまうと、一体どこが「東日本」なのか、その定義すら様々で人によってイメージが異なってしまいます。
例えば「愛知県は東日本か西日本か」という論議があります(愛知県のサイトにも掲載されています→こちら)。文化的にも地政学的にも真ん中に位置するだけにその判断は微妙で、愛知県民自身どちらか迷うことが多いくらいです。アクセントは東ですが、鰻の焼き方は西です。先ほどの県のサイトによれば、どちらかと言うと「東日本」に分類されることの方が多いようですが、少なくとも今回の震災の被災地ではありません。
東日本というと、地質学的にはフォッサマグナ(糸魚川静岡構造線)から東側で、これが最も一般的な「東日本」の定義かなぁと思いますが、方言的にはもう少し西の愛知岐阜以東が東日本です。また今回話題になった交流電源の周波数が50Hzと60Hzの地域で東西を分けることもできます。いずれにしても静岡東部から北海道までも含んでしまうので、今回の震災の地域としては広く取りすぎです。JR東日本のエリアと考えれば北海道は除かれますが、新潟、長野、山梨、静岡の一部を含むことには変わりありません。「北日本」「東日本」「中日本」「西日本」「南日本」と細かく5分割すればエリアは狭くなりますが、今度は「北日本」と「東日本」の境界が微妙になります。今回の被災地である青森や岩手は「北日本」とすると、これもまた震災の名称としては相応しくありません。
いずれにしても「東日本大震災」という名称は今後似たような震災が東北・関東地域で発生した場合に区別がつけにくくなるだけではなく、正確に被災エリアを特定することもできないのがいけません。今は良いですが50年後、100年後のことを考えたら、ここまで網羅的ではない名称にした方が良いと思います。
僕が想像するに、30年くらい後にやはり東日本の広範な地域を巻き込むような大地震が起きた時には、きっと今回の震災は「平成東日本大震災」と時代名をつけて区別されることになるんじゃないかと思います。平成が終わっていれば、この名称で間違えることはないでしょう。ただまだその時が平成時代だったら無理ですが、できたらもう平成の間にこんな大震災は起きて欲しくありません。

コメント
コメント一覧 (2件)
ご指摘の通りだと思います
行政用語・地理用語ではない「東日本」を正式名称に使うとは思いませんでした。
静岡(東部)・山梨までは計画停電実施地域なので「被災地」に含めていいのでしょうが。
「太平洋岸震災」とすれば,浦安など東京湾岸の被害が含まれませんし。
たぶん津軽海峡に東日本と北日本とを分ける「見えざる線」が走っているんですよ。
Unknown
あかお先生、賛同いただきありがとうございます。
地理好き人間として、また境目に住む愛知県民としては、「東日本」という曖昧な呼称を使うことにどうも納得がいかなかったものですから。
恐らくあまり厳密に考えない人は語感で「これで良いんじゃないの」と思うのかなと。
まあ閣議決定したものをひっくり返せるとも思えないので、僕も今後は呼称としては従うつもりですが納得はいきません。