国葬即決が裏目に

 「検討使」と呼ばれている岸田首相が珍しく即決した国葬が完全に政権にとって裏目に出ています。やはり人間やり慣れないことをするものではありません。国葬は政治的なイベントであって、本来の葬儀ではないのですから、慌てて決める必要はなかったのに、麻生太郎に尻を蹴とばされて急いで発表したことを今となっては大いに後悔していることでしょう。
 そもそも国葬についての法律がないにも関わらず国会審議も経ず閣議決定だけで決めたことに対するルール違反が問われているのに、費用に関しても当初は2億5千万円と警備費用などを除いて過少申告して、後出しで16億とか言うものですから炎上してしまいました。さらに「弔問外交」のメリットを主張したにも関わらず、国連総会と日程が被って各国の首脳はほとんど訪日せず2番手3番手それ以下の面子しか揃いそうにありません。
 旧統一教会批判がどんどん問題化していることと国葬を関連付けられてさらに批判の声は高まり、支持率は下がる一方です。支持率を下げることだけは避けてきて、そのために何もしないことが一番という為政者としてはあるまじき政治姿勢を堅持していたのに、本当に似合わない即断即決が自らの首を絞めてしまっています。
 とどめはエリザベス女王の国葬です。本来国家元首である王族と一人の政治家の国葬を比較すること自体が無理があるのですが、これだけ時期が近いと比較されてしまうのも仕方ありません。エリザベス女王の国葬に反対する声などあるはずもないですし、バイデン大統領を始め各国の元首クラスが国葬に参加する意思を早々に示しています。イギリスで世界トップ間での弔問外交が行われてしまったら、8日後に東京で意味のある弔問外交などあり得ないだろうと誰もが思います。
 エリザベス女王の国葬までは予測していなかったでしょうが、とは言え、早々に安倍元首相の国葬を発表しなければ、もしかしたらもっと時期を遅くできたかも知れませんし、国葬ではなく従来通りの政府・自民党葬にして穏当に収めることもできました。今さら時期を遅らせたり国葬から格下げすることも体面上できませんから、このまま国葬へと突っ走ることになりそうですが、やればやったで岸田政権の支持率は下がる一方でしょう。
 岸田首相にとって不幸中の幸いなのは野党がバラバラで大して脅威ではないことです。むしろ怖いのは身内の党内非主流派、特に菅元首相や二階元幹事長などの干されている長老です。旧統一教会問題で揺れる安倍派と彼らが結びついて岸田追い落としに動くような局面になったら、逆転の一手として囁かれている早期解散総選挙もあり得ます。少々自民党は議席を減らすことでしょうが、選挙で禊を済ませれば旧統一教会問題も国葬も国民の信任を得た、と言い張ることができます。
 そんな党内の権力争いよりも、喫緊の課題である物価高とか円安とかコロナとか、我々の生活を脅かしているあれやこれやを何とかして欲しいと切に願っているのですが、果たして首相の目にはどこまで国民の生活の苦しさが映っているのでしょうか。いや、本当に最近のあれこれの値上がり具合はきついですから。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次