現在62歳の僕は若い頃から労働観が周りと違うことに気づいていました。僕の若手社員の頃というと「24時間働けますか」の時代です。みんな忙しいことを自慢していました。徹夜したとか、家に帰っていないとか、休日もずっと仕事しているとか、全然寝てないとか。当時20代半ばの僕には信じられませんでした。忙しいと言っても、自分がしたいことをして忙しいわけではなく、ただ仕事に振り回されているだけのに、どうしてそれを偉そうに自慢気に語るのか全く理解できませんでした。
僕は勤務時間が終わったのに残業なんてしたくなかったし、家に帰ってドラクエも早くやりたかったし、まだ幼かった子どもたちを風呂に入れたかったので、なるべく仕事を効率的にやって早く切り上げ、飲み会もダラダラと深夜早朝まで付き合わずに1次会だけで帰るようにしていました。僕の中ではそれでも会社の付き合いをなるべく努力してやっていたというつもりなのですが、周囲からは「付き合いが悪い」「新人類だ」と思われていました。さらには「仕事にやる気が感じられない」とまで言われていましたが、結果は出しているのだから「やってる感」のための残業なんてしてられるかと自分のスタイルを変えるつもりは全くありませんでした。
そして30年後、僕の会社人生も終盤に近付いてきた頃に、「働き方改革」の波が押し寄せてきました。残業するな、無駄な会議はするな、休暇を取れ、効率よく働けと会社が言い始めました。そんなことは僕は30年間ずっとやってきたし、周りにも勧めてきたのに、何を今さら言ってるんだかと心底呆れました。そして僕が30年間そうしてきたからと言って、今さらその点が評価されるわけでもないあたりも日本の会社ってそうだよなぁという感じでした。
もう今の時代に徹夜自慢とか休みを取っていない自慢をする人はほとんどいないでしょう。いたらかなり時代遅れだと思われます。今は逆にいかに働いていないか、労働時間の少なさや休暇の多さ、縛られない自由な働き方を自慢する方がスマートです。それでいてちゃんと稼いでいるのが一番のステータスだと思います。僕としては働き方改革で残業が少ないことや休暇取得率が高いことを悪く言われることもなくなったし、コロナきっかけで在宅勤務になったことなど良いことだらけなのですが、もう20年くらい早く労働に対する意識が変わっていたら僕も楽だったし、日本もここまで労働生産性が低い社会にならなかったのではないかと思うと残念です。
そして今でも昭和の働き方にノスタルジーを感じている人たちが50代以上にたくさんいることも知っています。会社に集まって会議して、みんなで残業して、そのままダラダラと飲みに行きたいなんて、そんな働き方を若手に押しつけたら老害でしかないから早く辞めれば良いのにと思いますが、そういう人たちだからこそいつまでも会社にしがみついているんでしょう。

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