名古屋市長選で自民立憲公明国民が相乗りした前参院議員の大塚耕平が、保守党・減税日本から立候補した広沢一郎に大差をつけられて負けました。既成政党がまとめて討ち死にした結果になり、各党がショックを受けている様子が報道されていますが、選挙前に書いたように、ある程度はこの結果は予想できるものでした。いくら選挙に強い河村たかしの後継だとは言え、広沢は河村本人ではないし、なによりオール与党体制の大塚が負けるわけはないと各党は高を括っていたのでしょうが、東京都知事選や兵庫県知事選から続く首長選挙の一連の流れが名古屋市長選にも押し寄せたと思います。
今回は「減税派」vs「増税派」というレッテル貼りがSNSで流されたようです。また大塚は「移民推進派」という一言も触れていない嘘も流布されたと言っています。ある程度はそうしたフェイクによるレッテル貼りや分断も影響したとは考えられますが、これだけ大差をつけられたのは、やはりオール与党という「形づくり」ができただけで、大塚陣営が勝ったと思い込んだ油断が一番の敗因としてあったのではないかと思います。それと河村たかしの根強い人気を甘く見ていたということでしょう。
先の衆院選で示されたように、今の政権とマスコミに対する国民の不満はかなりマグマのように溜まっていて、それが訳の分からない嘘の流布や分断を狙ったような言説に容易に飛びついてしまう人たちへの好餌になっています。大塚は確かに「減税する」とは言いませんでしたが「効果を検証して判断する」と言っていました。これを「増税派」とするのは無理筋ですし、何よりどんな政策も効果をきちんと検証して判断するのが正しい政治的なやり方です。ただその「正しさ」が今のワンフレーズで戦う選挙戦では逆に揚げ足を取られて酷いレッテル貼りのトリガーになってしまいます。
僕の周りでも話を聞くと、広沢一郎を応援している人がいました。やはりネットが伝える出所もハッキリしない情報や、人づてに聞いた話を元に「自分の頭で考えて」判断しているようです。一律市民税を10%減税したら、どれだけ名古屋市の税収が減り、それがどう行政サービスの低下につながるのか、なんてことは考えていません。減税イコール良いこと、というだけです。そもそも河村たかしは庶民の味方だといつも豪語していますが、一律減税で恩恵を受けるのはたくさん税金を払っている高所得者であって、所得の少ない人は10%くらい減税されたって実感できないくらいの金額にしかなりません。大塚の言うように「効果」をしっかり「検証」しないと、耳障りの良い言葉に騙されるだけです。
今後も法律の穴をつくようなSNSを使った選挙のやり方が横行するとなると、来夏の参院選はかなりこれまでとは様相が違った選挙戦になる可能性が高いです。既成政党はピンチですが、平気で嘘をばらまける新党には大チャンスです。国民にとってはフェイクニュースが溢れて正確な情報が得られないままになる大ピンチですから、きちんと公職選挙法を改正してSNSで嘘を拡散するのを規制しないといけないと思います。

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