世の中の会社にはワンストップで全ての依頼に応えられるように専門的な職種も社員として雇用して内製化をしているところが数多くあります。広告会社でも営業だけではなく、アートディレクターやコピーライターなどの制作部門をはじめ、デジタルやプロモーションなどの専門職を社員として雇用しています。僕が入社する以前、半世紀以上も前の話ですが、その頃はカメラマンや運転手、電話交換手なども社員でいました。社員で雇っていれば使いやすくて安上がりだと考えていたのでしょうが、人件費が上がるとともに、こういう職種は外注化した方が効率的だとして、社員は徐々にいなくなっていきました。
テレビ局も同様だと思います。制作局に社員はいますが、ドラマにしろバラエティにしろ外部プロダクションの存在が欠かせません。外部スタッフが増えるほど、社員はスタッフを管理する立場になることが多いでしょう。社員は高給取りですが、外部プロダクションの人は薄給でこき使われているという話もよく聞きます。同じプロデューサーやディレクターという職種でも、所属している組織によって待遇は全然違ってしまいます。
そんな中、同じように社員と外部なのに立場が逆転するのがアナウンサーです。社員のアナウンサーは高給取りと言っても芸能人のような高額な報酬は貰えません。それなのに社員だからと会社のために接待に駆り出されたりさせられるわけで、人気があればあるほど、優秀であればあるほど、メリットがまるでありません。最近局のアナウンサーがどんどん退社してフリーに転身していますが、そりゃそうだろうと思います。見え方は芸能人なのに扱いは一般社員では「悪いところどり」になってしまいます。
とりわけフジテレビの女性アナウンサーは恒常的にセクハラパワハラに遭ってきたようですから、逃げ出したいと考えている人も多いことでしょう。今後制作費が削られる中で、社員で何とか安く済ませようと局アナの酷使が強まる可能性が高いですから、「やりがい搾取」がますます横行すると思います。これは社員アナウンサーとしてはリスキーでしかありません。
そこでフジテレビが今回の事件を契機に再生を図るなら、いっそ局アナを全てプロダクション所属にするなどして外注化することにしてはいかがでしょうか?そうすれば接待に駆り出すわけにもいきませんし、上司の顔色を窺う必要もなくなります。もちろん中には仕事を失うアナウンサーも出てくることでしょう。そうなるかもと思う人はそもそもアナウンサーとしてのニーズがないのだから、他の職種に変わって社に残るという選択肢も用意すべきですが、とにかくアナウンサーという職種を社内から無くして、俳優や芸人などと同じように外部から呼ぶ「演者」として扱うことにすれば、形の上ではスッキリします。
まあ今だって社員アナウンサーとフリーアナウンサーが混在してテレビに出ているのですから、視聴者には見た目に変わった感はないかも知れないし、変化に伴ういろいろな問題や軋轢も生じそうですが、あのフジテレビが社員アナウンサーをゼロにするインパクトの大きさは「変わる」ことの象徴としての意味はあるのではないかと思います。と言うか、未だに自局のニュース番組でフジテレビ擁護をしたり二次加害をしたりしている様子を見ていると、何を言ったところで期待できない気もしてしまいます。マジでちゃんと変わって欲しいのですが。

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