中居性暴力問題でフジの元アナウンサーの長野智子が「私は嫌だったら行かないと思う」と発言して、二次加害ではないかと叩かれて釈明をしています。この「嫌だったら行かない」が切り取られて目立っているのは、実際に社会人として、特に組織の人間として「嫌だったら行かない」などということが通用するケースがどれだけあるのかということを、人々が良く知っているからです。
業務上必要な付き合いで、なおかつ上司から言われたのにも関わらず「嫌だから」という理由で断ったら、その後の会社員としての立場がかなり危うくなるのは誰しもわかることと思います。断れるのはよほど強い後ろ盾があるか、余人をもって代え難いほどのスペシャリストか、その組織ではアウトローでいることを選択できている人間くらいです。フジの局アナなら高橋英樹の娘の高橋真麻だったら断れたかも知れませんが、それ以外は無理でしょう。
僕はかなり社内では組織に縛られることを嫌って好き勝手やっていたタイプでしたが、業務上必要だと理解したクライアントとの会食くらいは気が進まなくても行っていました。クライアントにしてみれば僕なんか来ても来なくてもそれほど気にしなかっただろうと思いますが、それでも一応顔は出しておくかとは思います。会社とは長い間そういうものでしたし、コロナ禍以降はいくぶん変化はあったと思いますが、古い慣行が残っている業界なら未だにそういうものでしょう。「嫌だから行かない」は若手社員には選択肢としてありません。
もちろん、いつまでもそれで良いとは思っていません。僕自身が業務時間外の仕事での食事だとか飲み会だとかは極力行きたくない人間ですから、40代以降はかなりの割合で断ってきましたし、今では「嫌」だったら絶対に行きません。そして僕のようなベテラン以上に若手には楽しくないことも多いでしょうから、気が向かなければ気軽に断れるようにするべきだと考えています。
そういうことを言うと「一緒に飲まないと仲良くなれない」「仕事が円滑に進むためには必要」などと言い出す古いオヤジたちがいますが、それは「あなたの感想」であって、相手はそう思っていないということを理解すべきです。そもそも飲み仲間と仕事をしたければ、飲み屋でもやれば良いのであって、普通の仕事は酒を飲んでやるものではありません。
と言うことを、30年以上前から主張してきたので、全く理解されずに僕も組織の中でどんどんアウトロー化していったんですけど、まあそれでも何とかクビにならずに定年まで続けられましたから、これからの時代は、どうしても嫌だったら行かなくても良いと思います。ただし、そんなことを強要するような会社には自分から見切りをつけて、転職なり独立なりを考えることも必要ですが。

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