推しと信者

 今回の参院選で目立つのは若い世代が政治に関心を持ち、投票に行く意向を示していることです。それ自体はとても良いことで、これまで若者が政治に無関心だったために、若者向けの政策よりも年配層向けの政治が行われてきました。当然のことながら投票しない人に政治家はあまり関心を示さないからです。また投票率が低ければ組織票の影響が増しますから、自民党のように業界団体の支援を受けたり、立憲や国民民主党のように労組の支持があったり、公明党のように創価学会のバックアップで選挙活動をするところが議席を多く獲得できたわけです。既成政党の強みはこうした組織力にありましたから、本音では無党派層は寝ていれば良いという某政治家の発言に象徴されることになります。
 若い人が投票に行けば、若い人に受ける政策を公約にする政党が支持を伸ばします。当然これまでの政治とは変わってくることになるでしょう。子育て支援や住宅取得支援とか、賃金アップとか、減税や給付の拡大などです。そして今回の選挙ではどの党も揃って上記のような似た公約を掲げています。かつては共産党や社民党が毎回主張していたことです。ところが今や「小さな政府」「財政規律重視」のはずの保守系まで同じことを言い始めました。財源論はどこかに置いたままです。
 どの政党も似たような公約を掲げている時に、これまで政治に無関心だった人はどうやって政党を選ぶのか?どこも同じなら、考えられるのは「見た感じが良い人」です。そもそも政治に無関心だったのですから、これまでの各政党の来歴も知りません。右か左かもわかりません。サッカーのオフサイドもよくわからないのにサッカーを見に行ったら、話題になっている若くてカッコいい目立つ選手を応援するでしょう。政治の基礎知識がなければSNSで話題の「良い感じ」の候補者を選ぶのも同じです。
 そういう人が「推し活」感覚で候補者や政党を選ぶのをいくら批判したところで、本人たちには届きません。仮に届いても「何がいけないのか」と思うだけです。それが高じれば「信者」になります。信者は批判されればされるほどより教祖に殉じるようになるのは迫害されてきた宗教の共通した道です。今回の参院選は地方首長選で展開されてきたそういう新しい現象がいよいよ国政選挙でも起こるのを目撃することになりそうです。あとはそれが国政にどれほどの影響力をもつかを注視しようと思います。「今回だけ」のことだと思う人も多いでしょうが、それでも今回当選すれば6年間有効なのです。影響がそれなりにあることは間違いありません。それにこれが新しい政治参加の流れであることは誰も否定できないのですから。
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