『ちょっとだけエスパー』初回

 今クール注目のドラマ『ちょっとだけエスパー』。面白いです。訳がわからなし、不穏な雰囲気がする話ですが、何かいろいろと伏線が張ってあって、今後少しずつそれが明かされていくんだろうということも感じさせます。早く先が見たいという気持ちにさせます。これは完全に脚本家・野木亜希子の勝利です。誰に対しての勝利か?もちろん三谷幸喜です。三谷の『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』の初回は話が散らばり過ぎて退屈でした。豪華キャストをみんなちゃんと見せようとし過ぎたのではないかと思います。野木はその点、ちゃんとストーリーを重視していました。主要キャストのひとりである北村匠海は一瞬しか登場しませんでした。それで良いと思います。

 次に主演の大泉洋が素晴らしいです。彼にぴったりの役で、周りに常に翻弄されボヤきながらも、突っ込みを忘れないキャラクターは日頃の大泉そのものです。このドラマは野木のオリジナルなので、大泉と組んで思いっきりやりたいことをやっている感があり、それがとても良い方向に転がっているように感じます。もちろん初回だけで過剰な期待をするのは危険ですが、やはり原作があるドラマよりもオリジナルドラマの方が爆発力があると言うか、俳優も原作に引っ張られずに演技ができるのでドラマの魅力が増すことは間違いありません。

 脇を固める俳優陣も当然のことながらそれぞれのキャラに合っています。ディーンはいかにもディーンだし、高畑淳子もいかにも高畑です。その中でやはり光るのは宮崎あおい。10代から天才でしたが、あれから20年経っても全く魅力が損なわれていません。今回の不思議で謎めいている役を演じられる俳優は「女優黄金世代」であっても宮崎以外に考えられない気がします。綾瀬はるかではあざとく感じるし、長澤まさみでは裏があることが見え見えです。新垣結衣では不穏さが足りません。北川景子には全く似合わないピュアなキャラクターだし、上戸彩では奥行きが感じられません。強いて言えばやはり宮崎と対をなす蒼井優くらいしか演じられないのではないかと思います。

 ミステリーでありSFでもありコメディでもあり、社会に対する批判もスパイスとして添えられていそうですが、結局はヒューマンドラマになりそうです。そのバランスが絶妙なところで取れている初回だったので、きっと野木亜希子の新しい代表作になりそうな予感がしています。

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