高市政権の政策にはいろいろと疑念が多いですが、とりあえずは結果を見てみないとわからないという気持ちもあります。ただ喫緊の課題である米価については早くも最悪の結果が出ようとしています。小泉前農相が備蓄米を放出していったんは下げた米価がまた高止まりしているのです。新米の時期なのにブランド米は過去最高値になるそうです。もちろんこれは政権が変わって石破政権の増産方針をやめるという政策の変更があったからです。わずか3ヵ月でこの大きな政策転換をするというのは、消費者のことはもちろん生産者のことすら考えていないと言われてしまいます。コメは工場でホイホイと増産したり減産したりできるものではないのですから。
石破政権ではコメの増産に踏み切りました。これまで米価を保つために減反を続けていた自民党政権としては画期的な方向転換でした。災害の激甚化や食糧安保を考えても主食であるコメを輸入に頼るような状況は危険でしかありません。米価を下げることはもちろんですが、そもそも備蓄米を放出してしまったのですから、早急に増産して備蓄米を改めて貯蔵しなければいざ必要となった時に国民が飢えてしまいます。増産してもしコメが余ったら輸出すれば良いというのが石破政権の考え方でした。問題はコメを日本に輸入させたいアメリカとぶつかることです。アメリカは日本がコメ不足で米価が高い方が都合が良いのです。
コメの増産はこれまでの米作りを大きく転換させるきっかけになります。大規模生産でコストを下げるようなコメ作りを政府が後押しすることで、生産性を上げること、農家の後継者不足を解消することに繋がります。日本のコメが高いのは生産効率の悪さにあることは明らかです。これまでのように補助金を出して減反していては日本のコメ作りは細る一方ですし、農家はコメを作らず技術は伝承されず田圃は荒れ果てていきます。こんなことに税金を何千億円も注ぎ込んでいて良いとはとても思えません。
鈴木農相は「需要に応じた生産」という過去のコメ政策の復活を言明しています。この「需要に応じた供給」というのは「コメが安くならないように生産量を調整する」と言う意味ですから、今後も米価は下がるどころか上がる可能性の方が高くなります。「農家を守るため」と言ってますが、それは半分以上建前で自民党の本音はアメリカ米の輸入をしなければアメリカのご機嫌取りができないからではないかとも推察しています。アメリカのご機嫌取りを一番の最優先にしていることは、高市のトランプに対する今回の隷属的な態度を見ればよくわかります。さすがにノーベル平和賞の推薦まで言い出したのには驚きましたが、コメをアメリカとの取引材料にしようとしているのは多分合っていると思います。
米価が上がって生活が苦しいという人には「お米券」を配るというのも考えの浅い話です。「お米券」を政府が発行するためにはまた無駄な手間と費用がかかります。こうした「〇〇券」はそれを作る業者に多額の税金が使われてしまい、予算に対して実際に国民に渡る金額が大幅に少なくなってしまいます。なぜマイナンバーを使って現金給付をしないのか意味がわかりません。誰だって「お米券」より現金の方が良いに決まっていますし、時間をかけ金をかけ、さらには自治体のマンパワーを使って余計な券を配るよりもスピーディで喜ばれて経済効果も大きいです。そのためのマイナンバー制度です。そもそも増産して米価を下げればそんな余計な予算も必要ないですけど。
農政改革、特に稲作の改革は長年の懸案でした。今回のコメ不足でようやく問題が顕在化して改革を始められた矢先に、1人の総理と1人の大臣が国会はおろか党内での議論も無しに簡単にやめてしまいました。それがスピード感ある改革だと本人も支持者も言うのかも知れませんが、十分な議論もなく独断専行で改革を元に戻しただけですし、挙句に結果が伴わなければ国民に痛みしか残りません。だから結果をしっかり注視していく必要があります。まずは一番国民が望んでいる物価高対策ができるかどうか、半年も待たずに結果は出ます。円安が進み利上げもできなければ物価は理論的には下がるどころか上がる可能性の方が高いですが、その時に支持者たちはどう考えるのでしょう。また石破のせいにしたり野党のせいにしたり外国人のせいにしたりするのでしょうか。
