横綱大の里、豊昇龍、関脇安青錦の3人が千秋楽に3敗で並ぶ優勝争いとなった九州場所。結果は優勝決定戦で安青錦が豊昇龍を破って初優勝を飾りました。ただこの結果は実は昨日からある程度予測できました。なぜなら大の里は安青錦に強く、安青錦は豊昇龍に強く、豊昇龍は大の里に強いという、3人はジャンケンのような三すくみになっているからです。ジャンケン通りなら豊昇龍は3敗で勝ち残ります。安青錦が琴桜に勝ち、優勝決定戦が豊昇龍と安青錦なら、一度も豊昇龍に負けたことがない安青錦が初優勝するはず。結果として大の里が休場したことで、安青錦と琴桜の一番が実質的に優勝を決める一番になり、琴桜に華麗な内無双を決めた安青錦の優勝はその時点でほぼ確定したと思います。
この優勝で安青錦は場所後の大関昇進が確実視されています。琴桜のひとり大関では番付上の不安があるという運の良さもありますが、入幕以来4場所連続で11勝をあげ、今場所12勝で優勝ですから、大関の声がかかるのは当然です。初土俵から所要14場所での大関昇進は、琴欧洲の19場所を抜いて史上最速記録(年6場所制以降初土俵、付け出し除く)ということで、出世の最速記録が最近は大の里と安青錦によってどんどん更新されていきます。今場所活躍した義ノ富士もいますし、若い才能が一気に伸びていく時は本当に目を見張るものがあり、見ていても楽しいです。
今後の安青錦の課題は大の里対策でしょう。これまで3敗と一度も勝っていないのは、豊昇龍との対戦成績と真逆です。体の小ささを低い姿勢と強い足腰でカバーしているものの、大の里の規格外のパワーで突き起こされてしまうと安青錦の良さは簡単に崩されてしまいます。常に真っ向勝負で気持ちが良い相撲を取る安青錦ですが、大の里のパワーをうまくいなすような相撲を取らないと今後も厳しいですし、横綱昇進も見えてきません。
大の里は以前から稽古不足を指摘されており、いつか怪我をすると言われていた通りの結果になってしまいました。恵まれた体によるパワーだけに頼る相撲では長寿は期待できません。短命に終わらないようにしっかり稽古を重ねて四つ相撲の安定感を向上させて欲しいです。豊昇龍は相変わらず組んで投げるという大味な相撲が多く、まわしが取れないまま突き押しの力士にあっけなく敗れることが多いので、横綱昇進以降まだ一度も優勝を経験していません。王道の相撲を身につけることが結局一番の近道でしょう。今後この三すくみがどう変化していくのかを楽しみに見ていこうと思います。
