今度は核保有

 高市政権の安全保障政策を担当する高官が「核保有を検討すべき」だと発言したことについて、与野党双方から批判の声が高まっています。木原官房長官は記者から当該高官の進退を問われ、「個別報道の逐一について、コメントすることは差し控える」としたそうですが、当の内閣の問題なのにどうして「差し控える」がまかり通るのか理解できません。まあどうせそのうち実名が出ることでしょう。名前が出た時に早めに高市首相が交代させれば良いですが、きっと間違いを認めたくない高市は続投させることになりそうです。中国だけではなくアジア各国からの非難を浴びるような外交問題に発展し、日本の国際的孤立状態が一層悪化します。

 これほど軍事大国化に前のめりの政権は過去にありませんでした。戦前の内閣ですらもう少し抑制的で、それでも軍事費が膨れ上がったのは当時の世界情勢のせいであり、また制度上軍部の突き上げを抑えることができなかったからです。今の世界情勢や日本の憲法や制度設計においては、むしろ軍事費を抑制する方向に向かう方がまだ理解できます。しかも日本の軍事費爆増の大半はアメリカのお古の武器を購入するためであり、果たしてそれが本当に抑止力たり得るのかもわかりません。米中が政治的に接近している現状において、日本だけが軍事大国化を目指して突出すれば、中国、北朝鮮、ロシアを刺激して敵国として認定されかねません。核保有国のこれらの国に対抗するために核保有など検討を始めたら、ますます日本が矢面に立つだけです。NPT脱退して核開発を始めるのか?そもそも論として、ウランを握っているアメリカが日本の核保有など認めるわけがないので、できもしない議論はするだけ無駄というだけではなく、議論自体がリスクでしかないのです。

 勇ましいことを言えば、気分が良くなる一部の単純な人たちのために、多くの国民が本来なら不要な大きなリスクにさらされています。政治は利害が対立する複雑で難しいものです。何の知識もなく勉強もしない人たちがわかるような単純な話ではないし、そんな単純化をする政治家は詐欺師と同じです。「わかりやすい」「勢いがある」「ハッキリ言い切って気持ちが良い」などという理屈にもなっていない感情的な理由で政権を支持している人たちのせいで、自民党の穏健保守派もマスコミも批判を控えてしまっていて、戦争のリスクと国が貧しくなるリスクがどんどん高まっています。政権が変わっても物価は下がっていないし、賃金は上がっていないし、財源のあてのないバラマキで増税不可避だし、「政治とカネ」の問題は何も解決していないどころか「そんなこと」扱いです。

 被団協がノーベル平和賞を受賞してから1年余り。核廃絶に向けて日本が動くことを期待されての受賞だったはずが、全く逆方向に走り出すことになろうとは。世界で唯一の被爆国であり、フクイチの悲劇が未だに何も解決向かっていない国なのに、どうして非核三原則の見直しどころか核保有などという暴論が出てくるのでしょうか。単に議論をもてあそぶだけなら政治家をやめて無責任に放言できる一般人になれば良いのです。議員、特に閣僚は何でも好き勝手言って良い立場ではないことくらいわかっているべきですし、特に放言が大好きな総理大臣は、その発言が国家としての意思表示になることを理解してもらわないと困ります。まあ彼女の放言は支持者に向けてのアピールですから、今後も止まらないだろうと思いますし、止められないのでしょうが。

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