久米宏が亡くなったことが公表されました。「報道ステーション」ではほとんどの時間を費やして久米宏追悼の内容を放送しました。大きなニュースがなかったこともあったのでしょうが、さすがに異例の対応だったのではないかと思います。もちろんそれだけ番組にとって重要な人物だったことは間違いありませんし、日本のテレビにおけるニュース番組のあり方を変えたという意味でも画期的な人でした。
ただ僕にとっては中学生の頃から見ていた『ぴったし カン・カン』と、高校生の頃から見ていた『ザ・ベストテン』の司会ぶりがもっとも印象に残っています。『ニュースステーション』も見ていましたが、もう社会人になっていたので、さすがに少し引いて見ていました。やはり久米宏と言えば高校大学時代に熱中していたベストテンでした。この番組が与えた影響は大きく、僕の音楽好き、特に日本の歌謡曲、J-POPへの傾倒を形成した大きな要因となりました。
ただもちろん久米宏の社会的な評価としては日本のテレビ報道を変えたニュースステーションになることも間違いありません。今日の報ステでも特に強調していた与党の政治家に対して鋭く直截に切り込んでいく姿勢と、その際に敢えて政治用語を使わずに、一般人にわかりやすい言葉で問いかけていくスタイルは新鮮でした。そしてそれは新鮮なだけではなく、昨今のテレビでは見られなくなってしまった姿でもあります。
安倍政権がテレビを懐柔し、それとともに高市が総務相時代に停波を脅しに使ってテレビを委縮させてしまったせいで、すっかり今のテレビ報道は牙を抜かれてしまいました。辛うじてTBSが報道特集やサンデーモーニングで踏ん張っていますが、テレビ朝日を含めて他局の腰抜けぶりは酷いものです。テレビの強さは言葉を使わなくても、態度や表情など雰囲気で伝わるものがあることです。久米宏はそれがわかっていましたから、敢えてストレートに言葉を飾らずに政治家に切り込んでいったのに、それが受け継がれていないことにきっと悔しい思いをしていたことでしょう。
久米宏の死を番組を丸々使って放送するなら、報ステは久米宏の遺志を継ぐ姿勢を明日から見せて欲しいものです。自民党と統一教会との癒着ぶりを韓国発で伝えられても、全然追及しようともしないのは違和感しかありません。解散総選挙となるなら、しっかり選挙の争点となるべき問題を報道する姿を、亡き久米宏に見せることが一番の追悼でしょう。
