奨学金という借金

 また高市が失言をしました。もう毎日のように何かやらかすので、追いかけるこちらの感覚が麻痺してくるのが心配になるくらいです。今回は「必要のない奨学金を借りるといったモラルハザード」だそうです。そんな奴おるかぁ!と怒鳴りたくなるくらい酷い発言です。どこの学生が莫大でかつ不要な借金をわざわざするというのでしょう?

 事の発端はいつもと同じです。まず国会での立憲民主党の斎藤嘉隆参院議員の質問の中のひとつに「奨学金返済額の一定割合を所得控除する奨学金返済減税は、現役世代を応援する非常に優れた仕組みだと考えますが、実現に向けての検討を進めていただけませんか?」というものがありました。いま奨学金を返すのに四苦八苦している若者がたくさんいます。少しでもその返済を楽にするために、返済する分は所得控除して減税してはどうか、という質問であり提案です。本来奨学金は貸与型ではなく給付型にするのが一番なのですが、その財源が確保できないというのなら、せめて返済する分だけでも減税して、苦学してきた学生や若い勤労者を助けてあげようという、極めて真っ当で効果がありそうな施策です。

 これに対して高市の返答は上記のように「必要のない奨学金を借りるといったモラルハザードが起こる可能性」があると言ったのです。そんなささやかな減税目当てで多額の奨学金を借りるバカがどこにいると言うのでしょう?仮にごく少数そういうおかしな奴がいたとしても、ほとんど多くの奨学金を必要とする真面目な学生が少しでも助かるのですから、やらない理由になりません。いかにもかつて生活保護を受けているのは「さもしい人間」だと言い放った高市らしい弱者蔑視の発言です。高市には常にこの「弱者を助ける必要はない」という徹底した思想が見え隠れします。高額医療費の自己負担限度額引き上げについても、大病を患う多くの患者の首を絞めるような政策です。障害者や高齢者に対しても常に「甘えている」と厳しい目線で語っていますが、そんな政治家を支持している人間は、自分は一生若くて元気で病気にもならないと思っているのでしょうか?

 僕は家が貧乏だったので高校も大学も奨学金を借りて進学しました。もちろん県立高校から国立大学の一本道です。大学入試は滑り止めの私学は受けることもしませんでした。親からは進学するなら「浪人ダメ、私立ダメ、下宿ダメ」、つまり地元の国立大に現役で合格しろと言われたし、大学の学費は出さないから自分で稼いで行けと言われたので、最初から奨学金とバイトで大学に通うつもりでした。だから卒業したら奨学金の返済が免除になる教員になるつもりで教員採用試験も合格していました。結果として広告会社に入社したのは、給料が良いので奨学金を返せそうだからという理由が一番大きかったくらいです。

 そんな「元当事者」としては、奨学金を必要ないのに借りるようなバカはいないし、税の軽減措置は多くの進学意欲のある若者を少しでも援助できる制度なのですから、変な理由を盾にしてやらないなんて発言は許しがたいものです。高市のいつものパターンですが、野党の普通の質問になぜかむきになって反論して、言わなくても良いことを言ってボロを出す。若者を助ける気もないのに、これでも若者はまだ高市を支持するのでしょうか?

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