稲葉のタッチ

 NetflixのWBC中継の時に試合前に稲葉浩志が『タッチ』のカバーを生パフォーマンスしました。カバー自体は文句ありません。原曲を生かしながらもロックチューンされた歯切れのいいサウンドでした。なるほど稲葉が歌うとこうなるのかという感じです。ただこれがWBCにマッチしているのかと言うと、どうにもズレを感じないではいられません。『タッチ』は確かに野球を題材にしたマンガ・アニメです。そこで辛うじてWBCと繋がってはいますが、『タッチ』はラブコメ要素がふんだんに盛り込まれた野球マンガというか、むしろ高校野球をスパイスにしたラブコメです。WBCはプロが真剣に戦う国際試合です。同じ野球と言ってもかなり開きがあります。

 しかも曲が有名というだけではなく、作品の内容もみんな良く知っていて、名台詞や名シーンも多い作品ですから、それだけ作品世界のイメージも共有されています。そして歌詞も甘い恋愛ソング。どうにもWBCの「ガチ」ぶりとは食い合わせが悪いんじゃないかなと感じてしまうのは、僕が昭和世代だからでしょうか。そこまで『タッチ』に詳しくない令和の若者にはそんなこと関係ないのかも知れませんが、だったら稲葉のような還暦過ぎた昭和世代に歌わせずに、大森元貴にでも歌わせた方が若者受けするんではないでしょうか?稲葉×『タッチ』では昭和受け狙いにしか見えませんから。

 これまでのWBCでは『キル・ビル』のテーマ曲が頻繁に使われていて、そのイメージが強いので、敢えてNetflixは変えようとしたというのは理解できますが、それにしても『タッチ』は違うんじゃないかなという気がしてなりません。もっとクールで緊張感のある曲を探したらきっとあったのではないかと思います。野球なら『タッチ』でいいじゃん、という思いつきをそのまま企画として実現してしまったようで、ちょっと企画が浅いんじゃないかと。

 それと大会のアンバサダーに渡辺謙、スペシャルサポーターに二宮和也が起用されていますが、二宮はまだしも渡辺謙は適任だったかというのも疑問に思っています。ネームバリューは抜群ですが、それだけに場違い感も強いです。阪神ファンらしいですが、どのチームのファンかよりも野球全体を愛しているタレントはいくらでも他にいたでしょう。Netflixはどうも金にあかせて大物を起用すれば良いというスタイルのようですが、テーマ曲同様にこちらも企画の浅さが露呈しています。

 

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