5万円給付の是非

 アメリカの物価が上がり続けています。インフレ抑制のために金利が急激に引き上げられて、その結果として株安と円安が進行しています。日本の企業業績は堅調なのに、アメリカの株安につられて日本株も売られていますし、円安が続く中で食料品とエネルギー価格が高騰しています。日本のインフレ率が2%を超えたと言っても、それは賃金が上がって良い循環に入ったわけではないので、どんどん庶民の生活は苦しくなる一方です。
 この「庶民」という言葉は便利で、大半の日本人は自分のことを庶民だと思っていることでしょう。年収2000万円以上の世帯を「リッチ世帯」などと呼んだりしますが、各種調査で少し数字は違うものの大抵1%前後という少なさです。純金融資産が1億円以上の「富裕層」も調査によれば約123万世帯ということで、だいたい上位2%くらいとなります。つまり比較的余裕のある暮らしをしている人はほんの一握りで100人中98人くらいは「庶民」として生活が苦しいと感じていることになります。
 しかしこの98%の人たちに「公平」「均等」に物価高対策で生活支援・補助するような政策は、選挙公約では受けが良いですが実現性が低く、また効果が薄いことも簡単に想像できます。ほとんど全ての人にバラマキをするとなると予算が莫大になるからです。限られた税金から支援や補助をするなら、やはり特に苦しい下位の層をターゲットにしないと効果が出ないでしょう。と言うことで、政府は「住民税非課税世帯」に5万円給付をすることにしたのですが、途端に「不公平だ」という声が上がっています。大半が高齢の年金受給者だからもっと若者に配れというのです。
 ただこうなると収拾がつきません。そもそも5万円程度では生活補助として大して役に立たないのに、それすらも「不公平だ」と反対するような国民性では効果が上がる対策など立てようがないからです。以前の10万円を全員に給付したようにすれば不公平感はそこそこ解消できるのでしょうが、そのための莫大な財源は赤字国債で若者に将来的に背負わせるわけです。若者は自分が抱える借金で自分に現金を配られるのですから、それで本当に良いのか考えてみてはどうでしょう。
 若者には現金をバラまくよりも、働けばきちんと賃金が上がるシステムを構築した方がずっとマシだし生産的です。日本以外の国で軒並み賃金が上がっているのに、日本だけ賃金が下がっていること自体が長年の日本政府の失態なのですから、そこについて文句を言うべきだし、なぜ日本だけできないのか考えるべきです。とりあえず目の前の円安によるエネルギーと食料品の高騰への対策として、資産の少ない高齢者や病気や怪我で働けずに生活苦に悩んでいる人たちに優先的に給付することは基本的に間違っていません。あくまでも目先の対策なのですから、何でもかんでも一緒くたにして「高齢者優遇だ」と言うのはちょっと違うかなと思います。
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