ラン活とジイジ

 「ラン活」というと「ランニング活動?」と思う人もいるかも知れません。ところがこれは「ランドセル活動」のことで、僕もそれを聞いて最初は「は?」と思いました。ランニングの方がよっぽど「活動」という言葉に相応しいです。「ラン活」を調べたらAIが「ランドセル購入のための情報集めやランドセル展示会に足を運ぶなど、ランドセル購入するまでの流れを指す言葉」と教えてくれました。展示会に行く?なんじゃそりゃ、です。
 こんなことを言っているのは、もちろん昭和の古いオジサン(というか、オジイサン)だからです。ランドセルなんて我々が子どもだった60年ほど前は男の子は黒、女の子は赤と決まっていて、指定されたランドセルを買ってくるだけでした。ところが僕が親になって子どもたちにランドセルを買った30年ほど前から、ランドセルは黒や赤とは限らなくなってきました。と言ってもまだ大半の子は黒や赤だったのですが、うちは本人の希望で息子は緑、娘はオレンジのランドセルを背負っていました。息子は他人の家のチャイムを鳴らして逃げるピンポンダッシュをするいたずらな悪ガキと家が近くで一緒に下校していただけなのに、「緑のランドセルの子どもがやった」と学校に通報されてすぐに特定されてしまいました。鈍くさいだけで悪いことはしていないのに、とんだとばっちりです。
 で、最近は「ラン活」です。こうなった背景には、ランドセルは祖父母がお祝いで孫に買うという巧妙な罠がランドセル業界から仕掛けられてしまったからです。親が仕方なく買うなら、なるべく安いものにしようと思いますが、祖父母がお祝いでとなると、少々高くても孫が気に入るものを、となります。選ぶのが大変なくらいたくさんのランドセルが用意されていて、そうなると単価が上がるだけではなく、展示会に行って、いろいろ検討して選んでという手間もかかるようになります。かつてのように入学式の前に駆け込みで買うのではなく、1年前からランドセル選びを始めることになってしまいました。バレンタインデーにチョコを買わせた、かつてのチョコレート業界に負けない巧みなマーケティング戦略です。
 そんなわけで、業界の仕掛けであることはわかっているのに、孫のランドセルを買うことになってしまいました。一応は「マーケティングに乗せられるのは良くない」とささやかな抵抗をしてみたのですが、妻や娘に一蹴されてしまい、家族みんなでランドセル売り場に行って孫があれこれ背負って決めて、最終的には「ジイジ」がそのメーカーの公式サイトから購入させていただきました。7万円オーバーですが、「早割り」特典があって10%くらいオフになりました。ありがたいと思うべきなのでしょう。
 うちはまだ孫がひとりだけなので何とかなりますが、これで孫が8人だの10人だのいたらどうするんでしょう?さすがに7万円のランドセルを10個はきついです。少子化の時代ですから、ランドセル手当を国か自治体からジイジに支給してほしいものです。年金生活の年寄りは、たださえ物価高騰で生活が苦しいのに、詐欺グループだけではなく、まっとうな業界からも狙われる受難の時代です。
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