なぜ年寄りは昔話をするのか

 年寄りは昔話ばかりすると良く言われます。僕も若い頃に年配の人と話していて、本当にそうだなと感じていました。そんな昔のことより、これからの楽しい未来の話をしたいなと思っていました。還暦過ぎて自分も年寄りになってきてわかったことは、昔話はいくらでもあるけれども、これから先の話は薄っぺらくなりがちだからしたくないんだということです。自分が面白かったり楽しかったりした時代はやはり子どもの頃とか青春時代とかで、中年以降になると大して面白い話は少なくなってきます。
 さらに未来の話と言われても、自分はこの先どんどん老いていくばかりで、できることも限られてくるし、ちょっとスパンの長い話になると「もうその頃は生きてないかも」と思うので、興味もないし話が盛り上がりません。勢い昔話ばかりになってしまって、若い人からうんざりされるというわけです。
 先月の高校の同窓会でみんなの話が尽きないのは、思いっきり遠慮せずに昔話を楽しめるからでした。若い頃より年を取ってからの方が同窓会の出席率が良くなるというのは、こういうことだったのかと、今回の同窓会で実感しました。我々の年齢はギリギリまだ未来の話もできなくはありません。これまでの仕事を辞めて、次に何をするのかという「第二の人生」というテーマをみんな抱えているからです。ただそれを話すには、それぞれの立場が大きく異なっている場合もあるので気を遣います。どうしても安心して話せる学生時代の思い出話に落ち着いてしまいます。
 今後も年々過去のデータブックは厚くなり、未来の展望は薄っぺらくなっていきます。僕の母は来年90歳になるのに未だに昔話はせず、これからの話ばかりしています。母の強い未来志向については自分も見習いたいと思っていますが、貴重な昔の経験譚を次の世代に伝えていくのもまた年配者の責務です。若い世代に「老害」だと思われないように上手に伝えていければ良いですが、年長者を敬うという文化がどんどん失われていく昨今、話を聞いてもらうのも決して簡単じゃないです。
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