斎藤兵庫県知事の会見、さらには斎藤知事の代理人である弁護士の会見を見て、結局彼らは同じ主張を繰り返していることだけはわかります。つまり、「公職選挙法に違反していないと認識している」ということです。彼らはそう思っているのだから、そう思っているんだとしましょう。それ以上のことは全てゴニョゴニョとはぐらかしています。どれだけ記者に事実関係を詳らかにするように詰められてもオウムのように同じことを繰り返すだけで全く説明になっていません。
弁護士が「PR会社の社長のブログは盛っているかと言えば盛っている」と発言していましたが、この弁護士はそのブログをちゃんと読んでいないとも言いました。なのになぜ盛っていると言い切れるのか、きっとそれも「そう思っている」んでしょう。じゃあなぜそのPR会社の社長は会見に出てこないのか。弁護士の言う通りなら社長が「話を盛って書きました、ごめんなさい」と言って謝れば、少なくとも斎藤知事側の認識は間違っていないということになります。だから弁護士は無理矢理にでも社長を同席させて会見に臨むのが筋だし、それができない時点でこの弁護士は無能です。そもそも齋藤知事もこのPR会社がブログに勝手に嘘八百を書いたことでこれほどの大迷惑がかかっているのですから激怒していいはずですが、「少々困惑している」程度の認識なのも不思議です。
でも社長は出てきません。雲隠れ状態です。あまつさえ「弁護士に話すなと言われている」と社長がマスコミの問い合わせに答えたという報道すらありました。それもおかしな話で、いまPR会社の社長は妄想癖と虚言癖のある頭が少しおかしい奴という扱いを斎藤知事側からされています。もし弁護士の話と事実が異なるなら、そんな弁護士の言うことを素直に聞き入れている場合ではないでしょう。きちんと社長も自分サイドの弁護士を同席させて「仕事としてやりました」と世間に言わなければ会社が潰れてしまいます。誰もそんな頭のおかしな社長の会社に今後仕事を発注しないからです。
僕は社長のブログを読みましたが、PR会社はビジネスライクにきちんと仕事をしたと思います。誇らしい気分であのブログを書いたこともよく伝わります。承認欲求が強いとか何とか叩かれていますが、今回の成果を世間が忘れないうちに発表して、次の仕事に繋げたいという素直なアピールだと思います。ただ自分がやった仕事が実は法律違反だったと知らなかっただけなのです。それはもちろんビジネスなので社長の落ち度です。知らなかったでは済まないのが法律ですから。そのために普通の会社は法務部を作ったり顧問弁護士を雇ったりしています。
ただ今回は社長よりも関係の法律に詳しくあらねばならないはずのクライアントもどうやら法律のことがわかっていなかったようです。当然責任は両者にありますから、クライアントも世間にきちんと事の経緯を説明して謝罪してそれなりのペナルティを受けるべきですが、今のところこのクライアントは全ての責任をPR会社に押し付けて逃げようとしています。だったら両者の主張は対立するはずですが、ここまで話が広がっても一向にそういう動きにならないということは、裏で知事サイドと社長が話し合って、どういう「物語」にすればお互いの傷が浅く済むか落としどころを相談しているんだろうと思います。本来自分が正しいと信じている人間ならもっとハッキリ「事実」を根拠に主張するものです。出てこない、もしくは歯切れが悪いのは後ろ暗いところがあるのが常です。
なお以上はPR会社への選挙活動の依頼が公職選挙法違反かどうかについての斎藤知事の疑惑の話であって、斎藤知事には他にも疑惑がいくらでもあります。当初面白おかしく伝えられていた「おねだり」「パワハラ」だけではありません。当初から最も問題視されている公益通報者保護法違反についてもそうですし、今回の知事選での立花孝志との連携についても全く知らぬ存ぜぬで押し通していますが、どう見ても両者が連携しているとしか思えない動き方をしていました。これもきちんと説明をすべきです。疑惑があれば事実を元に論理立てて説明するものなのに「自分は正しいと思っている」論法だけで押し通すのは、言葉を武器とする政治家としては失格でしょう。もっとも昨今の政治家は首相以下全て都合の悪い時は似たような話法になるので、これがテンプレ化しているのもまた困ったものです。

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