今回の参院選の争点は物価上昇による国民生活の困窮に対してどう対応していくか、ということです。参院選が始まる前は消費税の減税か現金給付かで与野党の主張が対立していました。減税ではなく社会保険料を下げろという意見もありました。じゃあその財源はどうするのか、また社会保険料を下げて今の社会保障は維持できるのか、ということをいろいろと活発に議論することに今回の参院選の意味があると思っています。
ところが参政党の「日本人ファースト」というスローガンのせいで、外国人問題が急にクローズアップされてしまいました。外国人が優遇されていて、日本人が貧しくなったのは外国人のせいだ、という根も葉もないデマをまき散らしている参政党など相手にしなければ良いはずなのに、それをなぜか信じる人たちが一気に参政党への支持率を上げました。それに慌てた他の政党までが外国人に対して厳しい規制をするなどという公約を急いで付け加えたりしたものですから、一気に「ありもしない」外国人問題が争点化してしまいました。
ファクトチェックで外国人が優遇されている事実などないことが明らかにされ、厚労相が「外国人を優遇してなどいない」とハッキリ言明したにも関わらず、いまだに外国人のせいで日本人が貧しくなったと信じている人たちがたくさんいるようで、参政党の勢いが衰えません。頭から信じている人たちを理屈で動かすことがいかに困難かということです。まあ本当にそう思っているというよりは、インバウンドで裕福な外国人が日本で大金をつかって楽しんでいるのが気に食わないという暗い嫉妬心を表出しているだけでしょうけど。
本来議論すべきことが脇に置かれて、問題がないことを無理矢理問題があるようにしてしまったのは、元凶の参政党よりも、それに乗ってしまった自民党をはじめとする既成政党の責任です。神谷代表は「日本人ファースト」は選挙のためのスローガンだと既に自白しているので、恐らく選挙が終わったら有耶無耶になっていくことでしょう。そもそも外国人は優遇されていないのですから、そこから財源など出てこないことなど神谷もわかっているはずです。外国人を仮想敵にして攻撃することで、不満と不安を抱えている日本人の攻撃性を票に繋げようとしているだけです。そしてそのせいで優秀な外国人労働者や外国人留学生が日本から逃げ出して、少子化が進む日本がますます貧しくなっていく未来が訪れます。悲しいことです。

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