九州場所が終わって今年の大相撲も幕を閉じました。尊富士や大の里などの活躍と裏腹に上位陣の不安定さが際立った前半戦でしたが、九州場所では琴桜と豊昇龍が相星で千秋楽決戦をするなど、来年に向けて明るい兆しが多く見られたのはファンにとっても協会にとっても良かったと思います。なにせひとり横綱の照ノ富士が出たり出なかったりで、引退もさせられずに不在のまま番付に残っているのは決して良い状況ではありません。早く安心して照ノ富士を引退させられるようにしたいところです。
九州場所の注目は新大関の大の里でしたが、主役の座を奪ったのは琴桜と豊昇龍の先輩大関でした。どちらも相撲内容が変わったことが活躍の要因でした。琴桜はこれまでせっかくの巨体を生かせずに、相撲のうまさばかりが目立っていましたが、九州場所ではしっかりと圧力をかける相撲が取れていました。性格が優しいのか、お坊ちゃんだからか、気迫に欠けるところがありましたが、今場所は気持ちが前に出ていて攻撃的な相撲になっていました。これを続けられればすぐに横綱昇進は間違いないでしょう。
豊昇龍も相撲が変わりました。これまでは天性の運動神経の良さだけで取っていて、強引な投げ技主体の相撲が目立ちました。それが裏目に出ていて安定感のない取り口だったのが、九州場所ではしっかり前に踏み込んで、スピード感のある良い相撲をとっていました。前に踏み込んでいるからこそ、得意の投げ技もより決まりやすくなります。結びの琴桜戦では仕切り線で足を滑らせて負けるという残念な形で優勝を逃したものの、こちらも来場所綱取り場所ということになるようです。
横綱琴桜を祖父に持つ琴桜と、横綱朝青龍を叔父に持つ豊昇龍。雰囲気はそれぞれ似ていますが、ただ相撲内容は琴桜は大鵬、豊昇龍は千代の富士にも似てきています。豊昇龍が霧島を釣り出した相撲は千代の富士を彷彿とさせました。かつての大横綱たちを手本に来年はふたりとも横綱として土俵を盛り上げて欲しいものです。そしてこの両大関が一気に成長したのも、後輩大関の大の里の破竹の勢いの昇進が刺激になったからだと思います。3大関の横綱昇進争いが来年の一番の見どころになりそうです。

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