豊昇龍の横綱昇進があっという間に決まりました。もう少し揉めて議論が起きるかと思っていたのですが、協会は場所が終わった直後にもう昇進決定という態度で、横綱審議委員会もわずか8分で横綱推薦を全会一致で決めたということです。前にも書きましたが、豊昇龍は初場所は8勝しかしておらず、春場所は13勝で準優勝、今場所は優勝したものの平幕に3敗して12勝での優勝です。普通なら昇進は見送りで「来場所の結果次第」となる成績です。それが議論もなく全会一致で推薦とは、横審も甘くなったものです。
思い出すのは1994年、当時大関の貴ノ花の横綱昇進に横審がストップをかけた件です。この年の貴ノ花は初場所14勝で優勝、春場所11勝、夏場所14勝で優勝、名古屋場所11勝、そして秋場所に全勝優勝していました。実力的にはもう十分に横綱でした。ただ「2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」という内規に照らせば昇進の基準を満たしていません。横審で激論が交わされて結局昇進見送りとなりました。協会は人気力士の貴ノ花を早く横綱に昇進させたいし、ファンもそれを望んでいましたが、横審はしっかりと役目を果たしたと思いました。貴ノ花は九州場所も全勝優勝をして双葉山以来の「大関で2場所連続全勝優勝」を果たし文句なしの成績で横綱昇進を決めました。
横綱は特別な地位です。品格も求められるし、なにより「絶対的な強さ」が必要です。豊昇龍は確かに以前の強引に投げを打つ相撲から、しっかりと腰を落として前に出る相撲に変わり強くなりました。横綱になるべき力を備えてきたと思いますが、平幕に取りこぼすことが多いように、まだ強さと脆さが共存していて不安定さが残ります。今の強さはまだ「相対的」なものだと考えられます。そのあたりを危惧して「もうひと場所様子を見よう」という委員がいない横審に、果たして存在意義があるのかどうか。御用委員会ではなくしっかり役目を果たして欲しいです。

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