昨日の「プレバト」は「俳句ふるさと王争奪戦」という新企画で、各都道府県の代表的な観光写真に添える一句を競うものでした。1位になった句はそれぞれの自治体でポスターとして掲出されるということで、挑戦するタレントも地元出身者が多く選ばれていました。茨城ならフルポン村上やカミナリたくみ、大坂ならフジモンや犬山紙子といった具合で、彼らに加えてプレバト常連の他県出身者たちが競っていました。
今回の企画はいつもの写真のお題で一句を詠む形式と、一見似ているようで違います。通常回では写真の状況から素直に詠んでも良いですが、発想を飛ばして全然違う切り口で詠むことも可能です。その代わり、写真を見ていない人にも理解できるように、詠んだ俳句が独立して鑑賞できるようにしなければなりません。写真を見ていることを前提にして詠んでも夏井先生にダメ出しを食らいます。
ところが今回は「写真俳句」なので、写真とセットで鑑賞されるところが違います。写真ありきですから、写真と全く内容が合わないのもNGですが、単に写真の説明をしているだけの句もNGです。写真と俳句が組み合わさって、より深い感動を与えることが求められます。夏井先生は「写真と俳句の足し算ではなく掛け算」を求められると言っていましたが、これは実は僕がコピーライターの基礎を叩きこまれていた新人時代に教わったことと同じです。
例えばポスターのキャッチコピーを考える時に、ポスターの写真やイラストをなぞっているだけではコピーを添える意味がありません。見ればわかることをわざわざ言葉にする必要はありません。デザインとコピーが融合して化学反応を起こすようなキャッチコピーこそが必要なのです。観光用ポスターの写真俳句とは、キャッチコピーと同じ作用を俳句の形式で考えることです。逆に考えればキャッチコピーは破調の写真俳句と同じものだとも言えます。
福岡県の場合は中洲の屋台の写真に添える俳句でした。4位の千原ジュニア『常連に 席譲られし 秋の夜』は、写真から容易に想像が出来る光景の描写に甘んじていると、足し算でしかないと指摘されました。3位の武田鉄矢『大将と こほろぎさがす 屋台かな』は賑やかな屋台の光景と、俳句の静かさ寂しさが合っていないと、俳句単体の出来の良さはありながらも3位になりました。2位の立川志らく『冷酒に 心の月を入れて 呑む』は俳句としては素晴らしいとされながらも、写真と少し心境にずれがあるということで惜しくも2位。そして1位は篠田麻里子『中洲の満月 ホークスの白星』。俳句としては志らくの方が上だとしながらも、写真と組み合わせると魅力がずっと増す、まさに掛け算の句ということで1位になりました。
写真の情報をなぞらず、写真の外にある情景を描くことで複合的に心が揺さぶられるという、今回の写真俳句という企画の説明としてはこれ以上ないくらいの好例が出て視聴者にもわかりやすかったことだろうと思います。僕も40年近く前に教わったキャッチコピーの基本を思い出して、別の意味で心が揺さぶられました。もっともデジタルメディア全盛のこの時代に、僕の教わったような古い広告手法がどこまで有効なのかは何とも言えませんが、今回の観光ポスターとテレビの人気番組のコラボという企画は特に年配の視聴者層にはかなり効くのではないかと思います。

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