大河ドラマ『鎌倉殿の13人』もいよいよ今週日曜日が最終回。先週の日曜日は承久の乱に突入する直前の、かの有名な北条政子の演説の回でした。日本史上に残る時代を変えた歴史的なエピソードです。こういう有名なシーンをどう描くのかは脚本家としては相当にプレッシャーもあるだろうと思います。有名なだけに史実通りに描くだけでは面白くもなんともないし、あまり変に手を加えると歴史好きからブーイングが起きます。
特に今回のドラマでは三谷幸喜はギリギリのラインで攻めてきています。あくまでも史実に忠実に、しかし細部のよくわかっていないところは空想の翼を大きく広げて三谷流の解釈で描いてきています。「そんなことはないだろう」と思いつつも「絶対ないとは言い切れない」ところを探りながら書いていると言っても良いでしょう。だから政子の演説でも「その恩は山よりも高く、海よりも深いもの」という有名なセンテンスをどうするか悩んだと思います。
結果、そのセリフは大江広元に書かせた原稿にある原文とし、途中まで政子は読みながら、最後までは言わずに原稿を捨てて自分の言葉で語り始めるという形にしました。定型的な北条政子のセリフではなく、政子を演じる小池栄子なりの「言葉」にしているのです。もちろん小池版の政子の言葉で語りつつも言わんとしている内容は大筋吾妻鏡に記されているところに拠っています。このあたりの史実と脚色の匙加減の巧みさが三谷幸喜ならではだと思います。
そもそも吾妻鏡では政子の演説は安達景盛が代読したと記されているのですから、最初から演説自体が大嘘だとも言えるわけで、でもあの演説が代読ではドラマになりません。あくまでも大河ドラマは史実を元にしたフィクションなのです。三谷幸喜の大河ドラマは今回が3作目ですが、経験を重ねるたびに大河ドラマならではの脚色具合が巧みになっていると感じます。
最終回では承久の乱から義時の最期までが描かれることでしょう。どういう形で義時が最期を迎えるのかが楽しみです。そして義時がいなくなった後の鎌倉の「その後」を感じさせる通常の大河でありがちなエンディングを描くのか。「新選組!」の時の切れの良いラストシーンもまた印象に残りますから、最後の瞬間まで目が離せません。

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