竹野内豊の退場

 朝ドラ『あんぱん』が好調です。いよいよ戦争に突入する暗い時代に入ってきて、次々と登場人物が亡くなっていきます。このドラマは喪失の物語のようです。ドラマスタート時点ですでに嵩(北村匠海)の父の清(二宮和也)は病死していて、のぶ(今田美桜)の父の結太郎(加瀬亮)も最初の週で急死してしまいました。のぶの妹の蘭子(河井優実)と結婚するはずだった豪 (細田佳央太) が戦死したのはまだ先週のことなのに、今週に入ったら嵩の伯父で名言製造機の寛(竹野内豊)がいきなり亡くなってしまいました。
 「戦争なんて良い奴から死んでいくんだから」というのは、「ヤムおじさん」こと草吉(阿部サダヲ)が言ったセリフですが、まさに今後もそういう人物からどんどん亡くなっていくようです。のぶと結婚する次郎(中島歩) も史実では結婚直後に召集されて、帰還後に病死をしています。また嵩の弟の千尋(中沢元紀) も史実では南方で戦死しています。亡くなるのが父性を象徴するような懐の深い優しい男性ばかりなのも気になるところです。
 フィクションとは言え史実をベースにして作られているドラマは、先が読める安心感とともに、大きくは史実を変えられないために、ドラマとしてはもう少し先まで活躍して欲しい人物がいなくなってしまうジレンマもあります。竹野内豊の退場はドラマとしてはまだ早いと感じますが、それがまた現実の世の中なんだということを実感させられてしまいます。運良く主要人物が生き残るのはご都合主義で作られたハリウッド映画だけです。
 史実では主人公ののぶの方が嵩より20年も先に亡くなっています。これもきっと変えられないでしょうから、脚本は晩年の活躍を描くのが難しいでしょうね。
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